数カ月をかけて開発したゲームがついにソフトローンチを迎えたとき、追跡すべきデータは何でしょうか?そしてその根拠は?ソフトローンチの戦略をどのように構築すべきでしょうか?
AppLovinでは先日、今年開催された White Nights のカンファレンスで、Belka Games の CEOである Alexandr Bogdanov 、そして Geewa Games の CEO Milos Endrle とこうしたテーマについてパネルディスカッションを行いました。ゲームのソフトローンチに関連する、スピーディーな開発、テスト、重要な決定を実現する方法についてお話いただきました。
また、それぞれのスタジオが重視する KPI や、グローバルでのリリースのタイミングを判断する方法についても興味深い話が聞けました。Alexandr と Milos は、ヒット作を生み出した戦略についても貴重な実例を示してくれました。
ソフトローンチはなぜ重要か?
まずはソフトローンチの段階ですが、その定義や実施のプロセス(テスト、KPI、計測など)はゲームスタジオによって異なります。
一般的には、自社ゲームの今後のステップを判断するために可能な限りの情報を集める段階がソフトローンチです。例えば、自社ゲームが特定のニーズにマッチしないことが分かれば、そのゲームを断念して新たに次のゲームに進むか、あるいは成長とスケール拡大の取り組みを強化するかを判断します。
BelkaとGeewaのソフトローンチのアプローチとは
Alexandr とMilos はそれぞれ、従来通りのいわゆる「ソフトローンチ」の前に、複数の「テックローンチ」を行うと明かしました。つまり、ソフトローンチは最終的な段階という位置づけだと言います。
Belka でのソフトローンチについて、Alexandr はスピードの重要性を強調しつつ、「資金を無駄にはしたくありません。ソフトローンチでは、適切なゲームのスケールの方法、そしてプレイヤーのエンゲージメントの有無を判断することができます」と語りました。
Milos は Geewa でのプロセスについて次のように説明しました。「ソフトローンチはKPIを計測する一助になります。1日目のリテンション(ユーザー継続率)をみて、ユーザーサイドですべてがうまく機能しているか確認します。例えば、PvP(Player versus player、プレイヤー同士が対戦を行うゲームシステム)は特に重要です。技術面がうまく機能していることが確認できれば、次はゲームのコアをテストします。」また、友人や同僚、家族などにプレイしてもらい、ゲームについてフィードバックをもらうそうです。
重視すべきKPIは?
ローンチ後の数日間は極めて需要な期間で、重視すべき KPI は、エンゲージメントです。
Geewa ではタイトルをリリースした後の1~2日の間の対戦数を見ると言います。Milos は、「ユーザーのオンボーディング のファネルも注視し、チュートリアルが十分かどうか、改善にはどのようなステップを踏むべきかなどを見極めます」と語りました。
さらにチームはデータを分析し、特定の指標に基づいて次のステップに関する重要な判断を下すと言います。「リテンションの基準はおよそ40%です。3~7日目が重要で、この期間中に目標を達成できるようなら、収益化の可能性追求へとステップを進めます」と続けました。
計測、エンゲージメント
Alexandr によると、Geewa と同じく、Belka も、指標やエンゲージメントを重視すると言います。「アプリ起動率、最初のゲームセッションの時間などを計測します。」
Belkaもこの段階で集めるデータを予測に用い、例えば7日目あるいは40日目の状況を想定して理解する参考とします。Alexandr は、「コアのゲームプレイを変更すべきか、あるいはこのまま次の段階へ進むべきか。そうした判断をするのに十分な材料が揃います」と述べました。
Geewa も Belka も、収益化の見通しを判断するにあたっては、スケーラビリティと CPI の特定に努めると言います。それぞれの要素が相互に作用します。例えば、エンゲージメントが高ければ、手堅い収益化を狙えます。ただ、ユーザー単価が高すぎれば、スケール拡大が意味を成さない場合もあります。
テストの戦略を構築し、コアのオーディエンスを理解する
Belka では3~4カ月でゲームを開発し、この期間中に新たなアイデアやコンセプトを考え出すと言います。ただ、データが期待に達しなければ、そうしたアイデアを断念します。直近の例では『Solitaire Cruise』(Android|iOS) がテスト段階をパスしました。同タイトルは、「想定する基準を満たし、成功しました」と、Alexandr は言いました。
ゲームのスケーラーテストも重要です。Milos は、「異なるタイプのアートワーク、異なるスタイルの主役、あるいは異なるゲームタイトルをテストします」と語りました。
ヒット作『Smashing Four』(Android|iOS)では、クリックスルー率に基づいて4つの異なるタイトルをテストしたと、Milos は明かしました。「『Smashing Four』は、テストから生まれたようなものです。今ではこうした方法をさらに多くの自社ゲームに適用しています。」
Alexandr は、Belka ではまずコアのオーディエンスを特定し、次のように述べました。「初期のコアのゲームプレイヤーとそのエンゲージメントを理解することを追求しました。プレイヤーは何に興味を示しているのか?性別、年齢は?そして、グラフィックやゲームタイトルなどを変更しました。『Solitaire Cruise』は、コアのオーディエンスを理解し、徹底的な変更を2回経て誕生しました。」
AppLovin と共に成長するスタジオ
Geewa と Belka はどちらも AppLovin とパートナーシップを組み、成長とビジネスのスケール拡大を実現しています。Geewa では、そうしたパートナーシップがより大きな展望を描く一助となり、一段と安定した環境を形成することにつながっています。
Milosは、「ビジネス的にも個人的にも、AppLovin というファミリーの一員であることを嬉しく思います。このパートナーシップにより、改善が必要な部分に注力することが可能になっています」と語りました。
Alexandr は、「AppLovin とのパートナーシップで Belka は一段と力強くなりました。より確信を持って、リスクを取ること、リサーチすること、スピーディーにスケール拡大に進むことができるようになっています」と続けました。
AppLovin のパートナースタジオについてはこちらから詳しくご覧いただけます。