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#デベロッパーさんに直撃 スマートなユーザー獲得戦略でシェアを拡大する米国スマートニュースさんに聞く

Amy Mills
3月 13日, 2018
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より多くの方にアプリのマネタイズのコツや成功事例について知ってもらえるよう、デベロッパーのみなさんの声をうかがうシリーズ #デベロッパーさんに直撃 をAppLovinブログで展開しています!(過去の記事はこちらをご覧ください)

今回は日本でお馴染みのニュースアプリ「SmartNews」(iOS | Android)さんの米国支社にお話をうかがいました。

2012年に東京でスタートした SmartNews は、AI を活用してユーザーに多様なニュースを届けるニュースアプリを展開しています。2014年には米国版をリリースし、順調に利用者数を伸ばしてきました。

今回はその米国支社で、マーケティングのトップを務める Fabien Nicolas 氏に、適切なユーザー獲得戦略を打ち出しつつ競争が激しい市場で自社アプリを根付かせる秘訣を伺いました。

 

競争の激しいニュースアプリ市場ですが、競合他社との差別化をどのように図っていますか?

Twitter や Facebook などのニュースをシェアできるアプリとの競争は厳しいですが、AOL や Yahooなどが運営する従来からのニュースアプリも手強い競合です。ただ、こうしたアプリは市場ではあまり注目されていません。ここでほかとの差異化を図り、一部ユーザーが離れる可能性を受け入れつつも、定着してもらえるユーザーを獲得することが重要です。

SmartNews の最大の特長は、メディアとプラットフォームとどちらからも一歩離れた存在を維持していることだと思います。日本で収益を上げているお陰で、情報の質を落とすことなく事実上独立したニュースソースを確立することができています。

米国では大波乱の米大統領選を経て、人々は政治的に中立的なニュースをあらためて求め始めました。真実の追求を重視し、SmartNewsは、政治的見解が多様な15本のトップ記事をユーザーに提供しています。たとえばユーザーが気候変動に懐疑的な意見を持っていても、賛否それぞれの見解が含まれる多様なニュースが表示されるようになっています。

ユーザーには、ソーシャルニュースに対する既成概念を取り払い、SmartNews を最高のニュース発見プラットフォームだと認めてもらいたいと思っています。このため当社は、米国では250社以上のニュースソースと提携し、機械学習技術を活用してユーザーにニュースを届けています。

 

米国市場進出の最大のチャレンジと日本のユーザーとの違いは何ですか?

日本のユーザーは主にエンタメ系など、いわゆるバズっている話題のニュースを消費する傾向があります。一方で米国のユーザーの興味は、政治ニュースなどの堅いニュースが中心になります。したがってそれぞれの地域で異なるマーケティング戦略が必要になってきます。日本ではオンラインのマーケティングを4年以上続け、既にそれなりの市場シェアに達しています。次の段階としては、スマホで効率的に市場を拡大し、TwitterやLINEに並ぶレベルになることを目指しています。

それぞれの国のユーザーの年齢層の違いも特徴的です。日本では幅広い年齢層にご利用されていますが、米国の場合は35歳以上が中心という構成になっています。

このほかには、iOS よりも Android の方がシェア拡大をしやすいという点があります。iOSの場合、Apple News が iOSに事前に組み込まれているためです。Google はもう少しオープンで、ユーザーの意思でGoogleニューススタンドをダウンロードできます。競合を見渡してみても、同じように iOS で苦戦して Android の方がやりやすいと感じているところは多いようです。

 

米国でうまくいっているユーザー獲得戦略を教えてください。

AppLovin をユーザー獲得戦略に活用したことで、12カ月間で DAU が倍増しました。フェイクニュース撲滅の流れで SmartNews も再び注目を浴びていて、今後も DAU を倍増し続けたいと思います。

広告のフォーマットでは動画がベストと感じています。当社は ROAS(return on ad spend: 広告費用対効果)を分析して広告予算を最適化していて、特にユーザーの最初の7日間のエンゲージメントとリテンションを重視しています。

一方で日本ではすでにマーケットリーダーとなっているので、テレビCMなどでさらにユーザー層を拡大する戦略を打ち出しています。

SmartNewsさんのスマホ向け動画広告

 

以前はスマホゲーム業界にいらしたそうですが、スマホゲームと SmartNews のようなツール系アプリのユーザー獲得戦略での共通点、または違いは何ですか?

共通点は、マーケティングスタック(マーケティング用の一連のテクノロジー)の良い点・悪い点を分析して、LTV(lifetime value: 顧客生涯価値)に生かさなければならないというところでしょうか。ゲームもツール系アプリも、ユーザー拡大の前にLTVを特定しなければならないというのは基本です。

他方で最大の違いは、スマホゲームの方がターゲットがよりはっきりとしているという点だと思います。ツール系アプリの場合、どこに予算を振り分けるかをかなりしっかり考える必要があります。SmartNews では、ゲームアプリに比べてより多くのマーケティングチャネルを選択肢に入れる必要があります。ツール系アプリの場合はテレビや紙媒体での広告出稿や、携帯キャリアと組んでアプリをプリインストールしてもらったり、様々なユーザー獲得戦略があります。ゲームのマーケターはターゲティングを重視するので、この点は苦労します。共通点より違いの方が多いのは確かです。

 

2018年、SmartNews の展望は何ですか?

2018年はより大胆な方針を打ち出すつもりです。あらゆるサイドからの多様なニュースを提供してユーザーの意思決定をサポートしたいと思っていますし、一方で当社が信じるデモクラシーを伝える取り組みもしたいと考えています。大統領がメディアを「アメリカ人の敵」と呼ぶなどしていますが、報道の自由をもっと訴えていくべきだと考えます。

Apple や Google、配車サービスのLyftといった多くの企業が、政府が打ち出した特定の国からの入国規制やバージニア州シャーロッツビルの事件に対する大統領の対応を批判する姿勢を明確に打ち出しています。当社もこれに続きたいと思っています。質の高い情報をより幅広く米国の人々に提供する中で、変化をもたらすことができればと考えています。

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