テレビゲームには必ず音があります。卓球ゲーム『ポン』のリズミカルな音や、『スペースインベーダー』のピコピコ音など、ゲームプレーの効果音はプレーヤーを盛り上げます。ゲームの仕組みの洗練が進むとともに、そのサウンドトラックも進化しました。『スーパーマリオブラザーズ』や『ゼルダの伝説』の曲を口ずさめる人は少なくないはずです。
実際に、魅力的なサウンドトラックを持つゲームの人気は高くなっています。CNETの2019年のゲームランキングの上位に入っているゲームのいくつかは、ヘッドフォンを装着してのプレーが推奨されているものもあります。ミッドコアおよびハードコアのゲームでは、サウンドトラックは単なるBGMではなくストーリラインに不可欠なものとなっています。
良い音とゲームのクオリティに相関性があるのは確かですが、ハイパーカジュアルゲームの場合はそこまで重要ではないかもしれません。ホラーゲームの怖さや農園ゲームのほのぼのとしたムードを出すのに音楽はうまく機能するかもしれませんが、シンプルなパズルゲームではどうでしょうか?
その答えはゲームの方向性、あるいはゲームをどう印象付けたいか次第でしょう。例えば、広告クリエイティブと同じように、音無しでプレーするような設計にしつつも、ユーザーが望めばサウンドエフェクトをオンにして音を流しながらプレーできるようにする、というようなことが考えられます。またほかに見落としがちなのが、サウンドデザインがいかにゲームのブランドにリンクしているかという点です。ゲームのサウンドトラックなどが特徴的だと、音と共にゲームのブランドがユーザーの心に深く残ります。
しかし、通勤途中などの短いセッションでプレーするゲームの場合はサウンドは重要でないかもしれません。こういったゲームの場合は大抵、ゲーム体験はあっという間、または片手間でプレーするかたちになり、サウンドがオンになることはない可能性があります。
ハイパーカジュアルゲームのサウンドトラックをきちんと作るうえでのROIを実質的に計測するものはありませんが、考慮する余地はあるかもしれません。ヘッドフォンを付けてプレーする一部のゲーマーは、完全に無音のゲームではがっかりしてしまうでしょう。
サウンドデザインの重要性の判断は、デベロッパーの裁量次第です。ゲームをより良いものにするうえで素晴らしいサウンドトラックが100%必要というわけではありませんが、ゲーム体験を損なうことにはなりません。SpotifyやApple Musicなどの音楽アプリをゲームプレー中に立ち上げられるようにするアプリが増えていますが、だからといって没入型の体験を深める努力を怠る理由にはなりません。ゲームプレーに基づいて取り組みを進めればよいのです。