バナー広告が登場してからすでに二十数年が経過し、広告関係者の間ではもはや時代遅れとの議論が数年にわたって展開されています。ユーザーがバナー広告のように見える情報を本能的に無視する現象を指す「バナー・ブラインドネス」という言葉は1998年に生まれましたが、2019年になったいまでもバナー広告はモバイルですら生き残っている状況です。なぜ、バナー広告がこれほど長続きしているのでしょうか?
まず1つ目の理由として、デスクトップPCからノート型PCへ、そしてタブレットやスマートフォンへと端末がコンパクト化し、広告スペースがどんどん限られてきています。スクリーンが小さくなれば、おのずとバナーサイズも小さくなります。直感的に違和感があるかもしれませんが、モバイルのバナー広告はデスクトップの場合よりも高い成果が出ています。スクリーンサイズが下がるほどに、メッセージ理解と広告認知が上がることが、様々な調査から判明しています。
業界レポートに目を向ければ、「動画広告はバナー広告の5倍のエンゲージメント率がある」などといった大きな数字が飛び交っています。たしかに動画広告は見栄えが良く、多くの情報を盛り込めます。大抵のキャンペーンの最大の目標は認知拡大で、そうした意味で30秒の動画広告にテキストなどと比べると多くの情報量を伝えることができます。スクリーンの下に表示される小さなバナーとは対照的です。
ではなぜ、より魅力的な動画広告やプレイアブル広告の登場にもかかわらず、いまだにバナー広告が残っているのでしょうか?
キャンペーンの目的によっては、バナー広告が必ずしも適切な選択肢になるとは限りませんが、完全に無視できる広告フォーマットとも言い切れません。媒体上の限られたスペースで、クリアかつコンパクトにメッセージを発信することによって、従来型のバナー広告は力を発揮することができます。