「モンスターハンター」や「メイプルストーリー」など、多彩なアイテムを集めてコレクションするゲームは、様々なジャンルやプラットフォームで人気を博しています。武器や珍しい車など、プレイヤーはゲーム内でのコレクション集めに、本能的に魅力を感じているようです。デベロッパーにとっては、こうしたアイテム集めの心理を理解すれば、プレイヤーの興味を掻き立てて満足させ、売上を伸ばすクリエイティブな方法を探るヒントになるはずです。
人は本能的に物を収集し、新しい刺激を求める
なぜ人類が物を収集するのかという点で、心理学者からは明確な結論は出ていませんが、狩猟採集社会の名残だと広く考えられています。現代では、生存のために資源を収集する必要はなく、本能的な収集の欲求がゲームなどほかの体験に向かうのかもしれません。また、収集する対象に心の拠り所を求め、収集することで実存的不安が和らぐとの指摘もあります。ゲーマーにとっては、ゲーム内アイテムのコレクションをつくりあげることで、自慢したり、目標達成の満足感を得ることができます。
また、人間は刺激を求める傾向があるため、ゲームではサプライズという要素がプレイヤーを夢中にさせます。「ガチャ」で意外なアイテムをゲーマーに提供して、収集に目新しさを加えるデベロッパーが増えています。
ゲーマーは達成感を求める
ゲームデベロッパーは、新たなレベル突破などのより大きな成果までの過程に、プレイヤーをエンゲージさせるためにアイテム収集の仕組みを活用しています。たとえば、RPGではプレイヤーが武器を収集し、キャラクターが次のボスとの戦いに備えるような仕組みになっています。
カジュアルゲームではコアのゲームプレーのほかに、付加的にゴールなどを設定するためにメタゲーム(ゲーム内のミニゲーム)がよく使われています。たとえば、人気のあるハイパーカジュアルゲームの「Drive and Park」(iOS|Android)の主な目的はできるだけ多くの車を駐車することですが、プレイヤーはゲームの過程で異なる特徴のある車種を集めることができます。これによって複雑さとチャレンジが加わり、高スコアを出そうとユーザーが何度もプレーすることになります。
授かり効果
プレイヤーのエンゲージメントを高める方法はほかにも、自分が持っているものを高く評価して手放したくないと考えることを意味する「授かり効果(endowment effect) 」の活用があります。ゲーム内のアイテム収集によって、プレイヤーはゲームにさらにエンゲージするようになります。任天堂はアミーボで、近距離無線通信の NFC (near field communication) チップ内蔵のキャラクターフィギュアをゲームに連動させるという方法で、こうした戦略を賢く実現しました。
プレイヤーとデベロッパーの Win-Win
新たな達成感を提供することでプレイヤーのモチベーションを上げるという点で、アイテム収集の仕組みはエンゲージメントを高め、リテンション率を上げる一助となります。熱心なユーザーは、宝集めでコレクションを増やすことを楽しみ、デベロッパーにとってはその過程でアプリ内課金や広告で収入が生まれることになります。