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Apple は昨年12月、デベロッパーが App Store でアプリを宣伝できるツールを米国でリリースしました。これにより各デベロッパーは、細かいターゲティング条件の設定なしに、CPI ベースでの支払いのみで広告出稿ができるようになります。
これまで Search Ads として知られていた広告ツールの進化版であるため、Search Ads Basic という名前に聞き覚えがある方も多いかもしれません。
現在このツールは、 Basic と Advanced の2つに分けられています。 Basic がシンプルなツールとしてユーザー獲得に割ける時間やリソースのない小規模のデベロッパーを対象とする一方、 Advanced は位置や性別、キーワード等のデータを使った詳細なターゲティングに対応し、比較的多くの予算を持つデベロッパーを対象としています。
Search Ads Basic は、デベロッパーとそのユーザー獲得戦略にどのような変化をもたらすのでしょうか。さらに詳しく見てみましょう。
Search Ads Basic の利点と制約
Search Ads Basic を使う最大の理由は、そのシンプルさとトラフィックの質の高さにあります。ターゲットとなるユーザーは、 App store で何かを検索している人、つまりすでにアプリをダウンロードする気になっている人たちです。そのため CPI はおよそ1.50ドル、もしくはそれよりも低くなり、 CTR はおよそ50%になると見込まれます。（ Search Engine Land 調べ） すでにアプリマーケティングに携わっている方ならおわかりになると思いますが、他の広告商品と比較しても、インパクトのある数字だといえるでしょう。
その一方、 Search Ads Basic には、どこで、どのように広告を表示させるかという点において、大きな制約があります。デベロッパーは毎月最大5,000ドルの予算を設定できますが、ターゲティングおよびリターゲティングの管理はできません。設定できるのは、最大予算とインストール１件あたりの支払金額のみです。このようにデベロッパー側で設定できる項目を大きく制限する理由は、 Search Ads Basic がそのシンプルさをアピールポイントとしているためです。
例えばデベロッパーは、 Apple が保有する過去のデータに基づき、予算の最大金額の提案を受けることができます。シンプルさがすべてのこのサービスは、Apple のデータ及びアルゴリズムにより、アプリのプロモーションが適切に行われるとユーザーから信頼される必要があるのです。
加えて、 Search Ads Basic / Advanced ともに App Store のデータに直接アクセスできるため、Apple はデベロッパーのマーケティング費用の最適化をサポートできます。 App Store のデータはサードパーティに対して公開されていないため、これは大きな利点といえます。
Search Ads Basic の利用タ ーゲットは誰でしょうか。基本的には、活動を始めたばかりで、Search Ads Advanced が提供するような詳細なターゲティングには手を出したくない、小規模のデベロッパーが主なターゲットとなるでしょう。 Search Ads Basic は、アプリの注目度を高める助けとなるよう、Apple の広告プラットフォームをありとあらゆる規模の開発者へ開放しています。
現時点で Search Ads Basic が持つ最大の弱点は、アメリカでしか利用できない、という点です。ただ 2018年の秋には世界展開される可能性が高いとのことなので、日本でのリリースも期待されます。
ユーザー獲得戦略のほんの一部にすぎない
Search Ads Basic は、活動を始めたばかりのデベロッパーにとってはすばらしいツールかもしれません。しかしこれだけに頼るのではなく、全体的なユーザー獲得戦略の一部として使うべきです。
たとえば、Search Ads Basic を利用する場合、デベロッパー側ではクリエイティブ制作ができず、Appleが制作を行います。制作の経験がなかったり、リソースが不足しているデベロッパーにとっては便利ともいえますが、広告の成功可否が ASO (App Store Optimization: アプリストア最適化) に大きく依存することとなってしまいます。このツールは、ユーザー獲得のための万能なアプローチを提供してくれるわけではありません。
結局のところ、ビジネスをスケールさせるためには、戦略を多角化する必要があります。コストをかけずに、もしくはわずかな予算でも、ユーザーを獲得する方法はあります。地道な PR 活動を続けていけば、口コミでアプリの評判を自然と広めることができるでしょう。また、アドネットワークなどのプラットフォームで広告出稿し、ユーザー獲得を図ることができます。
Search Ads Basic は、アプリにおけるユーザー獲得の方法を大きく変化させる要因にはなりません。 App Store に広告出稿をする他にも、ユーザーを獲得する方法は多岐にわたります。
Applovin のブログでは今後、限られた予算でユーザーを獲得する方法など、様々なマーケティング手法についてもご紹介していく予定です。ご期待下さい！
