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AppLovin x アドテック東京
US AppStore1位の獲り方!〜『1LINE』で1位を獲得した MagicAnt さんに聞く~
11月 1日, 2018
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AppLovin は、2018年10月4日・5日、東京国際フォーラムにて開催されたアジア最大規模のマーケティングカンファレンス「アドテック東京」に初出展いたしました。
ブースに豪華ゲストを迎え、モバイルECからオムニチャネルマーケティングまで、モバイル業界の幅広いテーマについて興味深いお話を伺いました。この全10セッションは、AppLovin 公式Facebookページでライブ配信を行いました。
当日開催されたセッションのうち、本記事では第4回目のセッション「US AppStore1位の獲り方!〜『1LINE』で1位を獲得した MagicAnt さんに聞く~」の様子をお伝えします。登壇者には、株式会社マジカント 山口様をお迎えし、モデレーターは弊社 坂本および谷中が務めました。
https://www.facebook.com/AppLovinJP/videos/340961996649409/?__xts__[0]=68.ARBRD_rPF20szr3POg2omOafEgJLSSk1aS7vDovnQIGuRDyKs6_QGkV8TbnYL0ALSZcOLg0sPnjs1GPgqPHJYjRjciwpM7HjqHm3BENgB0_OjpFWMorwBkdGjK3aGOTzwLGeLMVYqIGM5_SX-h0hPX2yNqtcsx3BRe8R4a31rE6uZGNaMANPxp9HgKuDtuXjDQ_iO0OIe1kqRyT_hrtyJnEUcN1EKN_Eug&__tn__=-R
谷中:よろしくお願いします。「US AppStore1位の獲り方」ということで、本日は株式会社マジカント山口様をお迎えしてお送りします。
山口:ありがとうございます。
谷中:まずは山口さんの自己紹介をお願いします。
山口:はじめまして。マジカント代表の山口と申します。スマホ黎明期からアプリをずっと作っています。前職もアプリのデベロッパーの会社でマネージャーをやっていて、アプリ全体のダウンロード累計が3000万ぐらいでした。マジカントを創業してから、現在までの累計ダウンロードは5000万くらいです。今年「1LINE(iOS|Android)」というアプリでUS1位を獲ったので、続々と1位獲ろうぜという感じでやっております。
谷中:1LINE のアプリの紹介をお願いします。
山口:1LINE に関しては、見てもらえば分かりますが「一筆書き」という世界中でルールが見た瞬間に伝わるような古典パズルゲームを作りました。
谷中:この 1LINE というアプリが、US App Store で1位を獲得されたのですが、本日のセッションでは、獲得されるまでにマーケティングの運用がどう行われていたのか、お話を伺っていきます。はじめに、北米と日本のマーケティングの違いについて聞いていきたいと思います。どうですか、坂本さん。
坂本:パスを受け取りました坂本です。 AppLovin のメディア事業部の Lion Studios というチームで、パブリッシング事業を担当しています。
アプリマーケティングというところに絞って端的に言うと、海外ではオンライン広告への依存度がほぼ100%に近くなるというところが、日本との一番大きな違いかと思います。僕らもパブリッシャーとして、USの AppStore で1位を出すタイトルを、この半年で5~6個出してきましたが、デジタル広告・オンライン広告以外のプロモーションにお金を使ったことは、僕が知る限り1回もないです。AppLovin も含めた、いわゆるアドネットワークへの広告出稿をものすごい規模で行ってダウンロード数を稼いで、ランキングを上げています。
谷中:逆に US でテレビ CM をあまりやらないのってどういうことですか。日本では効果的だからやっていると思うのですが。
坂本:一番大きな違いは、日本では地上波で見られるキー局が、リモコンの1から12でほぼ埋まるぐらいしかないことですね。アメリカだと、テレビはケーブルテレビで見るもので、チャンネルの数が何百もあります。それこそアメフトのスーパーボールとか、特別なイベントを除くと、2桁パーセントの人が同時に見ているチャンネルがないんですよ。細分化されているので。テレビ CM でリーチを出す、ボリュームを出すというのが、現実的にかなり難易度が高いので、必然的にオンラインになるんですね。
谷中:次は山口さんに伺います。今日の中心のテーマですが、USで1位を獲られた際に、具体的にどのようなチャネルで、どのようなプロモーションをされていたのか。また、どういうネットワークを使っていて、それぞれがどれぐらいの割合だったかを伺います。
山口:僕らがプロモーションをするにあたって、まずいきなり予算をわっと使うことはできないので、そのときはテストプロモーションでグローバル配信できる Unity のプラットフォームを選んで配信テストをしました。それが調子良かったので、Facebook や AdWords など、AppsFlyer さんのパワーランキングで上から順に5~6社の会社さんを使って、グローバル配信できるアドネットワークだけ選定して配信していきました。僕らはカジュアルゲームというものを作っている性質上、動画のフォーマットで8割以上プロモーションしたような形です。
谷中:選んだネットワークも動画の在庫がたくさんあるところ、ということですね。初期のテストをされていた期間はどれくらいですか。
山口:テスト期間は1ヶ月ぐらいですね。
坂本:テストのときって何を見ていましたが。CPI いくらで、どこでどれぐらい取れるのかですか。それともインストールした後の KPI 等も、そこで見たのですか。
山口:両方です。例えば1ドルで何件ぐらい取れるのか。ランキング1位を狙っていたので、何件必要だよねというのが分かるので、予算規模をはかっていたのと、実際 US でユーザーもいなかったので、一定数ユーザーが溜まってきたら LTV(lifetime value: 顧客生涯価値)の算出もしてみました。
谷中:ちなみに「1位獲るぞ」といって獲りに行ったのか、それとも 「ROI がいいから投資した結果1位になりました」という感じなのか、どちらですか。
山口:これに関しては、「1位獲るぞ」でやっています。決算期とかそういう事情もあって。
谷中:答えられる範囲で構わないのですが、どれぐらいの期間で、1日どれぐらいのお金を使って1位に到達したんですか?
山口:1位だった日の総ダウンロード数は大体15万ダウンロード。そのうちの10万ぐらいがノンオーガニック、つまり広告経由の獲得でした。大体 CPI が70円だったので、金額もそのぐらい使っています。多分単月で 1LINE だけで1億円ぐらいは使ったような形ですね。
坂本:予算は当然ないんですよね。今月はいくらまでしか使えないからみたいな。その辺どう管理されてるんですか。
山口:基本的な考え方としては、LTV に対して獲得コストが下回っていれば、キャッシュフローが回る限りいくらでも突っ込めると考えていて、予算という考え方はあまりしていません。利益が出るのであれば、アクセルを踏む、という考え方でやっています。
谷中:海外向けの広告クリエイティブを作るうえで、日本と変えていかないといけないところはありますか。
山口:言語を英語にするというところで、僕らの作っているゲームの性質上、そんなにテキストもいらないので、プレイ動画を見せてそれで伝えきるのが理想だと思ってやっています。
谷中:ちゃんとコンテンツの内容をユーザーさんに伝える、という目的で作られているということですね。
山口:そうです。テレビCMみたいな凝ったブランド広告っぽいイメージ動画よりも、実際のプレイ画面を見せて訴求したほうが効果は良いです。
坂本:さっき山口さんの 1LINE の紹介動画が流れていましたが、今考えたら、あの UI が英語だったか日本語だったか覚えてないんです。多分これ見ても、日本人の人ってインストールしますよね。こういうアプリなんだと分かって。なので、余計なものをあまり入れずに、そのゲームをやった時に一番楽しいと思う瞬間がきちんと入っているかどうかが、まず一つ絶対外せないポイントです。山口さん、クリエイティブはどれくらいの本数を作っていますか?
山口:テストプロモーションの段階では2種類ぐらいを縦横で用意しています。一応インハウスでクリエイティブデザイナーがいますが、その人が3日4日で作るようなイメージです。
谷中:それが結構よさそうだからアクセル踏むぞとなったときには、随時追加していくみたいな感じですね。
山口:そうですね。テスト段階ではそんなに工数をかけずに2個ぐらい作って、本プロモではクリエイティブの数も増やして、いろんなパターンを作るようなイメージです。
谷中:次のトピックは全然違う話になりますが、ROIをどのように計測されているのか伺えればと思います。山口さんどうですか。
山口:計算式に関しては、
坂本:TAD というのは、その日に100人ユーザー獲得したとして、翌日継続率が50%、その次の継続率が40人に減ってという、こういうカーブを描いていきますと。それに対して1日の1アクティブユーザーあたりの収益性がいくらだから、1日で100人のユーザーがいたら、100×そのARPDAUぶんだけ儲かります、2日目は50×儲かりますって足していって、1人当たりのLTVの平均を出すというものです。
谷中:直後1週間ぐらいが一番見ているところですかね。
山口:どれぐらいアクセル踏み続けるかにもよりますが。例えば日本でもAppStoreの上位にいるHappy Glassとかは、ほぼ1ヶ月ずっとストアの1位にいるので。あれがずっと伸びているのは僕も不思議なぐらいですけど。ああいうのは、やっぱりそれだけスペンドもたくさん使っていくし、収益も上がっていくので、リソースを割いて数字を見ています。
谷中:これから海外、おもに北米などにアプリを出していきたい方がいらっしゃると思うので、一言だけ山口さんからアドバイスを頂ければと思います。
山口:カジュアルゲームは、短期間で開発できるものだと思っています。なので、コアゲームができたらすぐにテストプロモーションをかけて、継続率 とか CPI とか、実際に数字を出してみて、それがイケてるかイケてないかの判断を早く行うのが良いと思います。数字を見ながらプロダクト改善をしていくことがすごく大事だと思います。早く数字を見られる状態にするという意味でも、小さくてもいいので、テストプロモーションをまずやってみるのがいい思っています。
谷中:ありがとうございます。坂本さんどうですか。
坂本:今の山口さんの話は100%合意で、さらにプラスαで足すとすると、諦めない心が大事かなと。
山口:すごく大事ですね。
坂本:結局すべてのゲームが当たるわけではないし、逆にいうと打率は1割か2割か分からないんですよね。その前提で、ハズレを引いたときに「これはハズレだから、これ以上はやめよう」という判断をして、さっさと捨てて次に行けないとしんどいんですよね。逆にいうと、それだけ失敗するので。どんなデベロッパー、パブリッシャーでも、それだけの数を失敗しています。最初から、「多分失敗するんだけどいけるかもしれない」ぐらいの期待値でやって、小さくテストして、「これはいける」となったときには、クイックに意思決定して進むという。そういうメンタルでいたほうがいいと思います。
谷中:なかなか辛い話ではありますけどね。僕も以前ゲーム作っていたので、辛い気持ちはよく分かります。ということで、今回のセッション終わりとさせていただきたいと思います。長い時間ありがとうございました。
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