LiveOps という言葉をゲーム業界で耳にしたことがあるかもしれません。でも正確な意味や、モバイルゲームに対する影響力については、まだ詳しく知らないという方もいらっしゃると思います。
今回は LiveOps について知っておくべきこと、そして LiveOps をモバイルゲームに実装するメリットについてご紹介します。
LiveOps とは?
LiveOps は Live Operations の略で、新しいバージョンをリリースせずにゲームに加える変更、アップデート、改良などのことを指します。
ビジネスの観点から言えば、ユーザーのエンゲージメントを維持し、離脱を防ぐことがデベロッパーの利益に繋がります。LiveOps はゲームにコンスタントに改良を加えていくこと、つまりゲームが世に出てからも、より良いものに生まれ変わらせることができる、ということです。LiveOps により、アップデートや面白いコンテンツを定期的に、確実に提供できるようになります。
LiveOps の簡単な歴史
コンソールゲームが主流だった頃、待ちに待ってようやく手に入れたタイトルをプレイしていた時代には、LiveOps という概念はありませんでした。
もしゲーム中にバグや欠陥が見つかっても、カセットやディスクはすでに生産済みのため、アップデートによるバグの修正は不可能でした。
また、ゲームをクリアしてしまえば、そのゲームはそこで終わりで、プレイヤーは二度と戻ってこないという問題もありました。これらはパブリッシャーにとっては、リテンションとエンゲージメントの低下につながるものでした。
LiveOps が生まれたのは、ゲームがカセットやディスクから、よりデジタルフレンドリーなメディアに移行してからです。パッチやバグの修正方法として生まれたこの手法は、今やコンテンツの追加でユーザーエクスペリエンスを向上させ、収益に変えることを軸とした複合的なサービスへと進化しています。
なぜモバイルゲームに LiveOps が重要なのか?
時を経てモバイルゲームの寿命とスケーラビリティは進化し、プレイヤーを惹きつける洗練されたゲームプレイと各種手法により、これまで以上に長く楽しまれるものになっていきました。
技術の進歩により、ゲームスタジオは柔軟性をもってより多くのことをコントロールできるようになり、ユーザーエクスペリエンスを即座に調整して改善できるということが、プレイヤーを惹きつけ、呼び戻すために、ますます重要になってきています。
LiveOps は突き詰めれば、ユーザーからのリアルタイムのフィードバックを元に、モバイルゲーム体験をカスタマイズするという、スタジオに与えられた力なのです。
受け取ったフィードバックによって何を実施するかは変わってきますが、その例がこちらです。
- 新しい機能
- 独占コンテンツ
- ライブイベント
- アプリ内課金のアイテムをまとめたバンドル
ユーザーを知り、適切なユーザーに響くゲームを制作することで、ユーザーはより多くのコンテンツ、レベル、ゲーム時間を求めるようになります。
ゲームで LiveOps を行う方法
ゲームに LiveOps を行う方法の例をいくつかご紹介します。
- 新しい機能:マルチプレイモードを新しく追加してみるのはどうでしょうか。このような新機能やモードは、新しいゲームとして、スタジオに新たな息を吹き込むものになり得ます。
- 独占コンテンツ:他のプレイヤーに自分のレベルを自慢できるような、新キャラクターや見た目を変えるアイテム、あるいはプレイヤーがアンロックする新しいレベルやマップなどがあります。
- ライブイベント:例えばリーダーボードのチャレンジ期間中に、プレイヤーをゲームに呼び戻すための戦略です。特にホリデーシーズンはスマホを触る時間が長くなるので、その期間中のライブイベントは成功しやすくなります。ライブイベントではまた、新しいゲームメカニックがプレイヤーに響くかをテストしてみることもできます。 (Wordscapes は、13週に渡るトーナメントでを通し、LTV が40%向上したという例もあります。)
- バンドル:様々な施策をまとめたものを指します。例えば VIP に、他のプレイヤーと対戦できる新しいゲームモードを提供し、加えてバンドル購入者にはユニークなコレクションアイテムを与える、などの方法があります。 アプリ内でゲームバランスが取れるようなバンドルであることを確認するようにしましょう。
モバイルゲームのデベロッパーなら、ユーザーからのフィードバックをしっかりと把握し、たくさんのノイズの中から重要なシグナルを見つけ出し、ゲームをさらに改善し、ユーザーをひきつけるコンテンツにしていくための方法を探るべきです。
それと並行して、ゲームで何が行われているのかを把握し、アナリティクスを活用してユーザーのエンゲージメントが高い機能や何が購入されているのかを探る作業も必要になります。
これらは何カ月、何年とプレイされ続けるゲームを作ることに注力するデベロッパーには特に役立つ知識です。この知識があれば、新しいゲームを作ることに集中してそれがヒットすることを願うより、既存のゲームに微調整を加えて改善していく方法を探すことができるようになります。これはほんのわずかな時間で実施することができ、ユーザーの獲得、維持も期待できます。
LiveOps 戦略の立て方
LiveOps は最初は少し大変そうに思えるかもしれませんが、まずは達成できる戦略を立て、それをひとつずつ達成し続けるようにしましょう。
LiveOps の特徴は柔軟性です。既存のファンのロイヤリティとエンゲージメントを高める機会を得て、結果的に新たなオーディエンスにアピールする可能性を広げるきっかけとなります。
LiveOps であなたのスタジオにどんなメリットがあるかを考え始めるために、いくつかの戦略をご紹介します。
1)戦略で最も大切なのは、ユーザーの声に耳を傾けること。
- ストアの評価をくまなくチェックし、友人にゲームに対する率直な感想を尋ね、分析プラットフォームやSNS、ユーザーフォーラムなどをチェックし、同じカテゴリの類似のゲームを確認して、どんなゲームプレイがあるかを見てみましょう。集めるデータが多いほど、自身のゲームのメカニックやグラフィックのどの部分が上手くいっているのか、あるいはいっていないのかが、よりはっきりと見えてくるようになります。
2)リソースを確認する。
- そのアップデートはあなた自身が、またはチームの誰かができますか?それか、特別な手助けが必要ですか?そう考えることで、そのアップデートを実際に実施できるかどうかを判断できます。 逆に一歩引いて、スケールダウンしたバージョンでもKPIを達成できていたものがなかったかも、確認してみましょう。
- 既存のゲームと新しいゲームの開発の両方に集中できるよう、リソースを割り当てましょう。ツールを使えば難しいことではありません。サーバー側の変更がベストです。デベロッパーに依存したり、アプリストアにビルドを送りなおす必要がなくなるためです。適切なツールがあれば、アプリ内課金(IAP)の価格からリーダーボードのリワードまで、ゲームのアップデートを実施しなくても、すべてを簡単に変更することができるようになります。
- 3Dアニメーションなどの、費用や時間がかかりすぎるような専門性の高いタスクは、適切なタイミングで外部委託しましょう。
- ゲームの成長に比例して LiveOps 戦略を構築し続けていく必要性も高まります。スケーラビリティを念頭においてゲームを構築できるよう、いずれは LiveOps 専門チームも必要になるでしょう。
3)テストして反復
- A/B形式でテストを実施して、アップデート後のパフォーマンスを確認しましょう。ユーザーに気付いてもらえましたか?利用者数や利用時間の増加はありましたか?アプリ内課金をするユーザーは増えましたか?これらのデータを確認して、今後のテストや学びに活かしましょう。
ストアに何百万ものゲームが溢れて競争が激化する中、プロモーションを実施し、目立つためにはますますお金がかかるようになってきました。LiveOpsはゲームスタジオにとって差別化を図るための鍵になります。
例えばキャンディークラッシュやPokémon GOなどのゲームは、強力な LiveOps のアプローチを取ることで、長期的な成功と安定的な収益の獲得に成功しました。スタジオは LiveOps の利点を活用して、既存のタイトルをパワーアップさせ、プレイヤーが長期間楽しめるようユーザーエクスペリエンスを改善していくべきなのです。
立てるべき LiveOps 戦略は、それぞれのゲームで異なるはずです。ご自身にどんな戦略が合うかを探り、テストを繰り返して行きましょう。
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