LTV、またはカスタマーLTVとは、顧客またはユーザーがアプリから得る利益を指標化したものです。アプリによる売上を把握し、今後の事業展開や広告戦略を策定するうえで重要な要素となります。
また、購入実績だけによらずサービスを最適化する基準ともなります。
LTVを簡単に説明してみましょう。
百貨店に入る人を想像してみてください。見ているだけで買う気のない人から店中のキャンペーンやプロモーションに興味津々の人まで、さまざまかと思います。
LTVの高いリピーターになるか否かは、個人の志向や消費行動、ブランドロイヤルティなどによります。
LTVが高い人ほど、購買意欲も高いです。 2019年に行われた調査によると、購入額が上位10%に入る顧客は1度の買い物で通常の顧客の3倍、上位1%に入る顧客は約5倍購入しています。
ユーザーがどれだけアプリを利用して、買い物をしているか考えてみましょう。そのようなユーザーのLTVは、アプリを確認するだけで何も買わない人より高いです。LTVが高いと売上が順調であり、リピーターの存在も示唆されます。
LTVは、CAC(顧客獲得にかかった費用)の回収期間と関連付ける必要があります。CACは販売やマーケティングにかかる経費のことです。
企業が扱う製品やサービスはさまざまです。したがって、「LTVが自社に及ぼす影響は何か」、また「LTVを適切に算出にはどうすればよいか」を明確にすることが重要です。
LTVが分かっている場合、一定の期間または文字通り「生涯」を基準に、1ヶ月、3ヶ月、1年間先を予測できます。LTVを左右する広告費の影響も見過ごせません。広告が収益に結び付けば、LTVはおのずと高くなります。
つまり、LTVは事業を最適化し、成長させるために何が必要かが分かる指標なのです。たとえば、LTVが低い場合、プロモーションに注力して既存顧客の掘り起こしや、アップセルの実現を目指します。
どこにどれだけ投資を行うか(顧客の囲い込みなど)をLTVから判断できるのです。
キャンペーンを実施すると売上増加につながります。LTVがもたらすメリットの事例を見ていきます。たとえば、
あるレポートによると、リピーターは、初回利用者よりも平均で67%多く購入する傾向があるとのことです。 LTV目線でマーケティング戦略を練ると、リピーターからの売上アップに注力できます。
LTVによりユーザーを分類すると、状況別で購入金額の多いユーザーにリソースを提供できます。期限切れが迫るユーザーについては、契約更新やアップセルが見込まれます。
LTVはさまざまな方法で計算できますが、以下の数式から簡単に算出できます。
ユーザーの平均LTV = アプリによる売上総額 / 合計ユーザー数
LTVは予算策定にあたり重要な指標となるため、マーケティング費の算定に応用されます。LTVをペルソナに落とし込むと、顧客が何に価値を見出しているかが分かります。
CACは新規顧客獲得にかかる費用のことです。この値は、常に新規顧客のLTVより低くなければなりません。
アプリの操作性の改善がLTVの上昇にもつながります。LTVを高める方法には、以下が挙げられます。
1.オンボーディングの改善
オンボーディングの印象が悪いと顧客離れにつながるのはご存じでしたか?アプリの操作性を高めることが非常に重要です。アプリの価値を上げることで、高品質かつ顧客に合わせたサービスの提供を目指してください。
2.コンテンツのカスタマイズ
自分が特別だと感じると、誰でも嬉しいものです。これにより、エンゲージメントが高まります。Facebookで定期的にファンを紹介するブランドもあります。コンテストを実施し、その結果を明らかにすることで、エンゲージメントを高めると同時に、プロモーションにもなります。
3.感謝を示す
ユーザーへの感謝の日を設定し、ロイヤルカスタマーにプレゼントを送ります。 AppLovinおよびMachine Zoneは、昨年はじめてプレイヤー感謝祭を開催し、継続してアプリを利用している一部のプレイヤーにプレゼントを送りました。
4.期間限定のアップグレードプログラムの提供
ユーザーが利用していないプレミアム製品を紹介して、期間限定で使ってもらい、そのまま購入に至ったかを確認します。
5.アンケートの回答やフィードバックの依頼
フィードバックを実施すると、ユーザーから問題点や要望の声が届きます。フィードバックを通してユーザーとの関係が緊密になり、自分たちの声が届いている、感謝されているとユーザーに思ってもらえるのではないでしょうか。
6.売上増加を見込んだアップセル
複数の価格帯やサブスクリプションがある場合は、LTVを高めるためにアップセルを検討します。
ユーザーが感じている価値を「LTV」という形で知ることで、効果的にキャンペーンを実施し、売上アップにつなげていきます。ブランドロイヤルティ、顧客との密なコミュニケーション、サポート体制の提供がLTVには欠かせない要素となります。