モバイル広告が登場して約20年が経ちました。その間、「ユーザーはバナー広告を見飽きている」という噂が四半世紀にわたって語られ、プレイアブル広告や動画広告といった目を引くフォーマットが台頭しても、バナー広告は依然としてモバイル広告の定番として使われています。さらに、業界の成長とともにバナー広告も着実にそのシェアを増やしています。
Source: Statista
大きな理由の一つとして、デスクトップからノートPC、タブレット、スマートフォンへと画面サイズが小さくなるにつれ、広告枠の価値が高まるという点があります。モバイルバナー広告がデスクトップのバナー広告よりも高い効果を発揮するのは、このためかもしれません。画面が小さいほど広告のメッセージが記憶に残りやすく、認識されやすいということが調査で明らかになっています。
フルスクリーンの動画広告やプレイアブル広告はコンバージョンを促進しますが、ファネル上部において広告の認知度を向上させることも欠かせません。そこで活躍するのがバナー広告です。短くシンプルなメッセージを低コストで伝えられるため、フルスクリーン広告と組み合わせた、ファネル全体にわたる効果的なマーケティング戦略を実現できます。
さらに、広告スペースが限られるバナー広告はメッセージを表示するよりも、ロゴやアイコンが印象的なブランドに特に向いています。
注目を引くフルスクリーン広告がある中で、バナー広告には広告主と広告収益型アプリの双方にとって大きなメリットがあります。
ゲームプレイやアプリの操作を邪魔しない:デベロッパーにとっては、バナー広告はプレイヤーのエンゲージメントを維持しながら収益化できる手段となり、広告主にとっては、アプリのメイン画面などに配置することで視認性を確保できます。また、バナー広告を使用することでクリックをランディングページや Web サイトへと効果的につなげられます。
コストパフォーマンスが高い:2023年のモバイル広告費用は世界全体で3,620億ドルに達しました。それに伴い、広告枠を巡る競争も激化し、コストは上昇し続けています。バナー広告は他の広告フォーマットに比べて大幅に低いコストで大量のインプレッションを獲得できるため、広告主にとって費用対効果の高い選択肢となります。デベロッパーにとっても、高コストのアプリ内広告を導入しなくても安定した収益を確保できるのがメリットです。
ユーザーが慣れている:バナー広告は長年にわたって使われてきたフォーマットであるため、アプリユーザーにとっても見慣れた存在であり、違和感なく受け入れられます。邪魔になりにくく、それでいて視認性が高いため、ユーザーの行動を促しやすいのも特徴です。
アプリ内アクションを促進する:バナー広告は、よりサイズの大きい、エンゲージメントを高める広告フォーマットに比べて直接的な売上やダウンロードにつながるわけではありません。しかし、アプリ内アクションを促進する効果が高いため、特にファネル中部のアクティビティを促すのに試してみる価値は大いにあります。
幅広いクリエイティブオプション:バナー広告は単調でつまらないと思われがちですが、近年はアニメーションやインタラクティブな要素を取り入れた魅力的な広告を作成できます。さらに、AI を活用すれば、過去のユーザー行動データを基に効果の高い広告を簡単に生成することが可能です。
A/B テストがしやすい:広告のメッセージをテストしたい場合、バナー広告は最適な選択肢です。さまざまなクリエイティブや配置を手軽に試せるため、広告主はメッセージを洗練させ、デベロッパーは収益性の高い配置を見つけることができます。
収益を向上させる:バナー広告は、インタースティシャル広告やリワード広告と組み合わせることでデベロッパーに安定した収益をもたらします。広告主にとっても、バナー広告はキャンペーンをスケールし、ブランドの認知度を向上させる手段として活用できます。
バナー広告はすべてのキャンペーンに最適というわけではありませんが、モバイルマーケティングにおいて依然として重要な役割を果たしています。明確なメッセージを伝えられる、低コストで大量のインプレッションを獲得できる、アプリ内エンゲージメントを向上させるなどのメリットがあるため、動画広告やプレイアブル広告が主流になった現在でも、バナー広告の価値は失われていません。賢い広告主やアプリデベロッパーは、バナー広告を軽視するのではなく、戦略的に活用することで最大限の効果を引き出しています。