ゲーム

Voodoo に聞く、ハイパーカジュアルゲームにまつわる変化

Tomoya Katagi
8月 27日, 2020

ここ数年、ハイパーカジュアルゲームがアプリストアのランキングトップを席巻し続けています。今回は、Voodoo のパブリッシング・シニア・マネジャーの Alexander Shea 氏にハイパーカジュアルゲームの成功が、モバイルゲーム開発や世界に向けたマーケティングに、どのような影響を及ぼしているかについてお話を伺いました。ハイパーカジュアルゲームのビジネスモデルは他のモバイルゲームと異なりますが、従来型のアプリ内課金に軸足を置くスタジオなどは、そうした異なる経済性から学んだポイントをゲームに生かすように動いています。これらのポ

ハイパーカジュアルゲームと他のカテゴリのゲームの違いは主に2つあります。まず、ハイパーカジュアルゲームは相対的に大衆性が高く、よりマスの市場に向けたプロダクトである点が挙げられます。次に、ハイパーカジュアルゲームでは、主にゲーマーではないオーディエンスをターゲットとし、スマートフォンにほとんどゲームアプリをダウンロードしていないようなユーザーを取り込もうとすることから、ゲーム開発において異なるアプローチが必要になります。Voodooと組んでゲーム開発に取り組むデベロッパーは、数百万人のユーザーに向けてハイスピードでゲームを提供しています。構想から市場投入に至る前でわずか3週間のスピードになることもあります。

Voodooと提携するスタジオにはすべて、弊社のパブリッシングチームが初期の段階から関与します」と、Alexander Shea 氏は語ります。

たとえば、VoodooAquapark.io に取り組んだ際、デベロッパーの Cassette チームはすでに最初のアイデアを固めていました。ハイパーカジュアルゲーム開発においてはこのスピード感が重要です。おもしろいテーマとユニークなビジョンがあれば、次は、ターゲットとする人物像を定め、そうしたユーザーに訴求するマーケティングを特定します。こうして押さえたポイントはゲーム開発の過程におけるイテレーション(反復)の道しるべとなり、チームはデータから得られる情報に基づくよう行動しました。たとえば、リリースから6週間が経過した時点で、CPI(cost per install: インストール単価)が当該ゲームにしては高すぎることから、転換期であると判断しました。Voodoo はデータを活用してユーザーが求めるようなゲーム内の機能を特定し、それに基づいてゲームプレイを調整するように Cassette と共に取り組みました。

ハイパーカジュアルゲーム市場は前年比で成長を続け、市場には多数のゲームが溢れています。そうした中では、世界中の人々に幅広く訴求するようなアイデアが必要です。また、ハイパーカジュアルゲームに目を向けるデベロッパーが多いのは、参入障壁の低さだけでなく、こうした世界中の幅広い人々をターゲットにできる点も理由となっています。スマートフォンを持つ人口の大部分をターゲットとして視野に入れることができるのです。

また、こうして生まれたモバイルゲームの収益化の新たなモデルによって広告収益は洗練化が進み、ゲームスタジオの競争力につながっています。

ユーザー獲得にも変化が生まれています。ユーザー獲得コストが拡大し、市場がますます飽和状態となるなか、Voodoo は、長期的な収益性を踏まえたゲーム開発にあたって2つの点に軸足を置くようシフトしました。

Alexander Shea 氏は次のように述べています。「ここ数年にわたって、ユーザーがすぐにゲームを理解できるようにする一方で、ゲームの深みを維持するというバランスに留意してきました。つまり、ゲームの仕組みを理解し、ゲームをプレイし続けてもらううえでの障害を理解するということです。」

従来的にアプリ内課金への依存度が高い大手ゲームスタジオにとっても、ハイパーカジュアルゲーム開発から得られる学びがあります。カジュアルゲームやミッドコアゲームにおいては、初期からデータに基づいて動くということが最も重要な参考すべき点でしょう。ほかのジャンルでは難しいですが、ハイパーカジュアルゲームのようなスピーディーな開発環境では、即座にデータに基づいてテストを行うことが可能です。こうした学びをもとに大手ゲームスタジオがハイパーカジュアルへの参入を試みていますが、この分野は主に密接な関係のチームを構築できる小規模スタジオが中心的になっていると、Alexander Shea 氏は言います。

ハイパーカジュアルゲームのデベロッパーが活用するデータは、その種類においても変化が起こっています。これまでは、1日ないし7日のリテンション(ユーザー維持率)をみていましたが、市場の変化に合わせ、デベロッパーは LTV(lifetime value: 顧客生涯価値)やゲームのプレイ時間などほかの指標にも注目するようになっています。初期の段階に、バイラリティ、CTR、3日間のLTV、プレイ時間、広告の CPM などをみて、ゲームのどの部分に最も可能性があるのかを判断することが重要です。

市場が成長と変化を続けるなかでは、デベロッパーがアプローチを調整し続けることの重要性が高まっています。

Alexander Shea氏は次のように語っています。「ゲームをより良くするために何かをプラスしていく取り組みを続けています。ハイパーカジュアルゲームは極めて純粋なゲームです。」

 

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